自然酒生もと 〜米から始まった〜

 詩人高村光太郎は「智恵子抄」において、当市二本松の安達太良山の上に出ている青い空が、智恵子のほんとの空だと歌いました。この詩にちなみ、ほんとの空のある二本松で本物の食にこだわろうという「ほんと塾」が二本松農協主催で開催されたのが1991年のことでした。この時、講演を依頼されていた弊社と、二本松有機農業研究会の皆さんとの初めての出会いがありました。
 これを契機として、本物の酒造りにこだわる大七酒造のために有機栽培で酒造好適米を作ろうという有志が集まり、リーダーの大内信一さんを中心に減農薬減化学肥料栽培で華吹雪を作る取り組みが始まりました。
 こうして出来た「自然酒生もと」は、地元で愛されたばかりか弊社の輸出品目にもなり、郷土の誇りを乗せて遠くフランスやアメリカへ出荷され、高い評価を獲得しました。またこの商品は、雑誌『サライ』の人気連載、“もうひとつの旬”において日本酒を代表する最も伝統的なこだわりの酒として紹介されました。
 志を共有する作り手同士の信頼の輪は、さらに発展します。大七酒造の酒蔵に若い蔵人たちが増えてからは、酒造りの終わる春から収穫の秋にかけて、蔵人たちは自主的に米作りに参加するようになりました。
 そして新JAS法により、「有機栽培」は完全無農薬・無化学肥料を3年以上継続したものでなければならないと厳格に規定された現在、大七酒造は栽培難易度の高い酒造好適米「五百万石」を、新JAS規格の完全「有機栽培」によって契約栽培しています。
 弊社は、お酒が“有機”を名乗る場合、2つの条件があると考えます。ひとつには原料米が有機栽培されていること。そしてもうひとつには、酒造りが人工的添加物を一切使用しない伝統製法であることです。そのためには人工的な乳酸を添加する速醸もとではなく、自然界の微生物に全てをゆだねる、生もと系酒母でなければなりません。
 大七の「自然酒生もと」は、原料米のみならず酒造りも含めて、真に“有機”自然酒と呼ぶに相応しい、数少ないお酒なのです。

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