箕輪門 〜全国初の超扁平精米〜

 1993年、醸造学に関する研究発表の場である『日本醸造協会誌』に、ひとつの論文が掲載されました。それは、現在主流である球形に削る精米方法は極めて非効率であること、そして理想の精米は米粒表面から等厚に削る扁平精米であることを、東京国税局鑑定官室長であった齋藤富男氏が論証したものです。
 発表当時、業界で必ずしも大きな話題を呼んだわけではなかったこの論文に、大七酒造は強く注目しました。すでに行き着くところまで行ったかに見える酒造技術に、これほど大きな矛盾、非効率が潜んでいたのならば、その解決は画期的なブレイク・スルーをもたらすであろうと予感したのです。しかも精米はあらゆる酒造りの出発点をなしていることから、その改良の波及効果は最も大きく、恩恵は全商品に及びます。
 弊社はさっそく扁平精米理論を実用化に移す取り組みを開始しました。当時、精米機メーカーは、扁平精米化によって砕米が増加してしまう恐れもあるため、お勧めしないという姿勢でした。そのため弊社は、自社でひたすら試行錯誤を繰り返し、独自にノウハウの開発に努めました。担当した尾形精米部長は、砕米に細心の注意を払いながら時に深夜まで精米機に付き添い、米が軋み始める音に耳を澄ますという日々が続きました。
取り組みはじめて3年目、肉眼でもはっきりと扁平とわかる白米が続々と誕生してきました。この米の蒸し上がりの白さは、まさにもう一皮剥けたようだと杜氏が感動したほどです。
 こうしていよいよこの精米法の真価を世に問う日がやってきました。山田錦を超扁平精米技術で精一杯磨き上げ、生もと造りの純米大吟醸に仕上げた「大七箕輪門」は、従来の大吟醸米にも残っていた雑味成分が一掃されて、かつてない洗練度、なめらかで緻密な舌触りと、解き放たれたような芳しい香りを実現しました。用いられた原料米の透けるような扁平度は考案者の齋藤富男氏の予想をも超え、「私の理想とする精米」と言わしめました。
 この成果をもとに弊社は従来型の精米法を全廃し、全ての商品において扁平精米法および超扁平精米法(最高度の精米)を採用しています。
 大七箕輪門は、国内においては東北鑑評会で「吟醸の部」「純米の部」両部門金賞や金賞総代などの輝かしい実績を残し、海外においてはフランスで行われる世界最大の飲料博覧会VINEXPOで、またニューヨークのトップ・レストランで、世界のプロフェッショナル達の称讃を博しています。現在の晴れやかな成功の陰には、未知の精米技法に取り組んだ、長い長い地道な努力の日々があったのです。

Copyright (c) DAISHICHI SAKE BREWERY Co., Ltd.